ルドルフ・フェンツ・真相を考察
今回は、タイムスリップしたとされる男の都市伝説について調査していきたいと思います。
こちら動画化もされていますので、是非。
ルドルフ・フェンツ
かつてアメリカで、本当にタイムスリップしてきたと思われる男性の都市伝説がある。
1951年6月のことだった。
午後11時、真夜中のニューヨークで、30歳ほどと思われる男性が歩いていた。
通行人の目撃情報によると、この男性の服装には違和感があったという。
というのも、あまりにも古臭かったのだ。
ブームが過ぎた服装、というレベルではなく、明らかに一世紀ほど前と思われる服装だった。
しかし、変わった人もいるということで、誰も気にすることはなかった。
男性は、どこか混乱しているような雰囲気で歩いていたのだが、突然慌てたように車通りの多い道路へ走り出した。
運の悪いことに、走ってきたタクシーに轢かれてしまった。
彼は即死で、すぐに警察に引き取られた。
身元を確認する必要があったからだ。
彼の持ち物を調べてみると、不思議なものが見つかる。
財布に入っていた紙幣が、古い時代のもだった。
にもかかわらず、全く劣化していない。
財布には名刺も入っており、名前がわかった。
「ルドルフ・フェンツ」という人物だ。
さらに1876年の消印がついた手紙も見つかった。
まるでこの時代の人間ではないような、そんな持ち物しかない男だった。
警察はこの人物について調査を開始し、古い電話帳から彼の名前を見つける。
電話をかけると、ルドルフの息子の妻という女性が出た。
彼女いわく、義父は1876年に「タバコを買ってくる」と言って出て行ったきり行方不明なのだという。
そして、年齢は31歳。
事故死したルドルフも同じくらいの年齢だった。
写真を見せたところ、彼女は本人であるといった。
考察
これなかなか面白い話ですよね。
ちなみに、真相も判明していますが、噂の広がり方もなかなか興味深いですよ。
この話はよくあるネットで広まった噂というわけではなく、1970年代から様々なメディアで言及されてきた噂になります。
さて、それではさっそく真相について説明していきますね。
2000年頃に、民間伝承を研究しているクリス・オーベック氏がこの話について検証を行いました。
その結果、1972年に発行された「Journal of Borderland Research」という雑誌に掲載されていたことを発見します。
この雑誌、超常現象を調査する学会が発行している雑誌だそうで、どのレベルまで信頼できるかわかりませんが、この雑誌が噂の発端となりました。
では、この雑誌に記事を掲載した人物に直接聞けば良いのですが、どうやら掲載されていた話自体も1950年代に出版された本からの引用であることがわかります。
その本を調べると、ラルフ・ホランドという人物がこの話を書いたとされています。
早速、本人に問い合わせてみると、彼もまた別の本から取り入れたといいます。
ややこしくなってきたので、ちょっと整理します。
まず1972年に発行された雑誌に、未来人の話が掲載されます。
そして、その情報源が1950年代に出版された本にありました。
ラルフ・ホランド氏の声という形で、その話が掲載されていたそうで、さらにラルフ氏に問い合わせると、彼も別の本からその情報を取り入れたと話したのです。
そして、やっと情報源にたどり着きました。
1951年に発行された小説が元ネタだったのです。
ジャック・フィニー氏の「Im scared」というSF小説です。
この小説には、ニューヨークでタイムトラベルを経験した人物との出会いを、ナレーターが詳しく説明していくという物語でした。
その中で、ルドルフ・フェンツの話が登場しているようです。
小説の中の話が、様々な雑誌に引用されていくにつれ、それが事実となってしまったというわけですね。
ちなみに、この小説よりも前に新聞記事が先だったという説もあるようです。
もしかしたら本当にあった話なのかもしれません…
大江健三郎の小説に出てきた解剖用遺体を扱うアルバイトの話が、「遺体洗いのアルバイトがある」という都市伝説になって作品を知らない人々の間に広まった、というのと似てますね。